悪魔の運動会



【伊藤明日香】


「ちょっと‼︎邪魔しないでよ!」


ランドセルにしがみつくが、相手はうさぎといえど、大人の大男だ。


振り回されるだけで、奪い取ることができない。


その間にも、何度となくブザー音が聞こえてくるのは何だろう?


美咲だろうか?


恐らく、美咲が差し出す「物」が不正解だからではないのか?


「お願い‼︎それが必要なの!」


残忍なうさぎに訴えても通じない。


小さなランドセルは食い込むように、体の一部と化しているため、どうしようもない。


その時、ピンポン!と鳴った。


「うそっ」


美咲が正解を出したんだ。


廊下から首を伸ばすと、早くも次の走者である木崎涼子が、こっちに向かって駆けてくるのが見えた。


「負けちゃうじゃないの‼︎」


渾身の力を込めてランドセルを引っ張ろうとしたが、急にうさぎが肩から下ろした。


興味がなくなったように廊下に投げ捨てる。


それを抱えて猿の元まで走ると、無事に正解音が鳴った。


かなり手こずったが、次の安藤と交代し、ずっと気になっていたことを薫に尋ねた。


「美咲のお題、なんだったの?」


「聞きたいの?」


さも呆れたように薫が言う。


聞きたいもなにも、美咲は一歩も探しに出ていないような気がする。


そんなお題って__?


【この世で1番美しいもの】


だって。