【安藤直人】


「それでは続いての競技を始めます。皆さん、校庭にお集まり下さい。第8競技は、騎馬戦です」


アナウンスが終わっても、俺は席を立つことができなかった。


騎馬戦というワードも耳から通り抜けていく。


野々村哲也が投票によって失格となり、その前には笠井周平が炎に包(くる)まれた。


完全に俺のせいだ__。


俺が勝ちを急いだから、だから周平を失った。


俺にはなんの資格もない。


チームを引っ張る力も、クラスをまとめる力さえない。


もう8人だ。


一体、この運動会はどこまで続くのか?


どこまで__。


「いい加減にしてほしいんだけど?」


そんな声に顔を上げると、立花薫が仁王立ちで見下ろしていた。


「あんたが居ないと負けるのよ?数では互角。向こうも男は間宮だけ。でもバランスでは明らかに負けてるわ。それでもこのメンツで騎馬戦やらないといけないのよ?そんなしみったれた顔されちゃたまらないわ」


まくし立てるように責められても、返す言葉はない。


「確かに笠井を失った。でもそれを判断したのは笠井自身よ。紅組は安藤、あんたを必要としている。そのことだけは忘れないで」


それだけ言い残すと、薫は教室から出て行った。