「私が1番後ろがいいわね?」


最も身長の高い立花薫は、そう言って後ろの輪っかに足を通す。


「いや、真ん中の方がいい。脚力があるから、前後に女子2人で、俺が先頭になる。周平、後ろを頼めるか?」


「__ああ、分かった」


笠井周平が、薫の場所へ。


明日香を2番手に、寺脇リカを4番手にして、俺たちのムカデは出来上がった。


この校庭の端から、向こうのライオンがいる端っこまでを競争する。


「用心しよう。ただのムカデ競争じゃないはずだ」


これまでの競争から、そう判断する。


スタートラインに立つと、白組は旬が先頭で、相原、樋口、涼子の女子を、最後尾の野々村哲也が挟む布陣となっている。


バランスは向こうのほうが有利だ。


背丈にそれほどズレがない。


ムカデ競争は歩幅が大事だ。それが均一なら、転倒することなく進むだろう。一度でも転んでしまうと、立て直すのが難しい。


転べば負けだと思ったほうがいいな。


「みんな、呼吸を合わせよう‼︎掛け声も揃えるぞ‼︎」


右から踏み出すことを決め、俺たちは合図を待った。


スタートの合図を。


「それでは位置について」


明日香が、俺の肩をグッと掴んだ?


「よーい__」


パン‼︎


号砲が放たれた。