「運動会特別プロジェクトに、皆さんのクラス、華橋中学3年C組が選ばれました。これから皆さんには運動会をして頂き、競い合って頂きます。そして勝ち残った者には、将来、官僚の座を約束します‼︎」


神木は高らかに宣言をした。


今から運動会をし、勝った者に未来の政治家の椅子を用意すると。


一体全体、どういうことだろう?


ほぼ全員が、首を傾げている。


さっきまで怒っていた裕貴も、すっかり毒気を抜かれたようで、僕と同じようにクラス委員の直人を見ている。


みんなが、答えを学級委員に求めているんだ。


きっと直人なら、これからどうすべきか、的確な指示を下してくれる。


それがこの3年C組だからだ。


「それでは諸君、健闘を祈る‼︎」


最後にそれだけ言い残すと、校内放送はプツリと切れた。


「直人、運動会てなんだ?俺たちで競うのか?」


間宮旬が深刻な顔をして尋ねている。


僕もそうだが、運動会なんて拍子抜けだと思った。


拉致なんて聞いた時には動揺したが、ただのイベントかもしれない。


そんな雰囲気がクラスメイトたちの間で広がった。


「分からない。なにか動きがあるはずだ」


そう直人が言った通り、再びマイクの雑音が聞こえた。


けれどそれは神木ではなく、女の声だった。