自分のことより、俺たちのことを心配するのが茜らしい。
「きっと大丈夫だって。明日になったらまた、いつもみたいに朝練が始まるさ」
「そう__かな?」
「そうだって‼︎そうじゃなきゃ困るし。あいつらとの約束もある」
「約束?」
「あっ__」と、しまった顔をしてみたが、大袈裟だったろうか?体を寄せ合うように、頬と頬が今にもくっつきそうな近距離が、俺に秘密を打ち明けさせる。
なにより、茜を元気づけたかった。
「浩二、約束ってなんなの?」
名前を呼ばれ、どこかむず痒い気がする。茜は、俺だけを下の名前で呼ぶ。それは小学校からの付き合いだからだ。あとの2人とは野球部から出会った。
だから俺には、リードがある。
「実は__卒業式に、俺たち3人は茜に告るつもりだ」
そうだ、過去形なんかにしない。
現在進行形の、これから来(きた)る未来だ。
「えっ⁉︎」
もちろん、茜は驚いている。
ただの告白じゃない、俺たち3人からだ。
「俺たちは話し合って、中学では告白しないって決めた。抜け駆けはない。でも卒業式に、全員が告白するっていう約束。その1番手はこの俺ってわけ。それは付き合いが古いから認められた特典だな」
「なによ、それ」
「ちょっとフライングしたけど」
「ちょっとどころじゃない」
そう言って、茜が笑った。
笑ってくれた。



