茜の手を引いて反対の方向に駆け出した。
しかし、そこには猿が待ち構えている。
前には猿、後ろからはライオンと挟まれてしまった。
「浩二__」
「こっちだ‼︎」
突破口は階段しかない。
上に登るだけの階段を、2人で駆け上がった。
逃げ道を探すより、今は捕まるわけにはいかない‼︎
「どこかに隠れよう‼︎」
追いかけてくる動物たちを振り払うため、そのまま4階まで一気に上がった。
手近な教室に入り、教壇の下に身を潜める。
茜は、激しく震えていた。
「さっき階段あがった時にさ、野球部の朝練、思い出したよ」
つとめて明るく言うと、茜は少し顔を上げた。
「100本ダッシュ?」
「そう。階段の昇り降り100本てなくない?しかも4階までとか、マジで意味わかんないよな」
「でも浩二、1着だったじゃない」
「無駄に体力あるからな。それで健と周平が最下位争いしてて、最後で足の引っ張り合いしたっていうね」
「あったあった。結局、2人で階段を転げ落ちてって、練習どころじゃなくなったけど」
「あいつらバカなんだよ」
大袈裟に笑うと、茜もつられて笑顔になる。
俺たちがいつも助けられてきた太陽のような笑顔はしかし、すぐ曇ってしまった。
「2人とも、大丈夫かな?」



