「周平‼︎」
浩二が俺の名を呼ぶ。
男に呼ばれても嬉しくねーし‼︎それに早くしないとうさぎが__。
俺の体ごと、徐々に押し上げる馬鹿力だ。
このままじゃ、蹴り上げられる‼︎
そう思った瞬間「うっ‼︎」という呻き声がした。
「わりぃーな、転んじまってよ」
戸田裕貴が、転んだといってうさぎに肘鉄を食らわせたからだ。
「俺も転んだ‼︎」
野々村哲也がわざとらしくコケて、うさぎに覆いかぶさる。
目が合うと、2人は悪賢い笑顔を見せた。
これで大丈夫だ。
俺は2人が駆けていく背中を、見届けることができた。
どうなるか分からない。
逃げ果(おお)せるかも分からない。
ただ、茜を失格にすることだけはできなかった。どうしてもそれだけは__。
あとは浩二に任せるしかない。
2人が校舎の中に入っていく。
頼む、逃げ切ってくれ。
浩二、お前ならできるよな?
約束、破っていいから、俺たちのマドンナを悲しませるなよ。



