悪魔の運動会



【笠井周平】


音楽が止まった。


樋口美咲が落ちたと思った矢先、うさぎが体を入れ替えるようにして、茜の手を取った。


唖然とする茜が、必死で腕を引こうとするが、冷たい顔で見下ろすうさぎは、絶対に離さない。


無情なアナウンスが、失格者の名を告げる。


「うそ__いや、いやぁ‼︎」


茜が抵抗するが、力では勝てるわけがない。


健に続いて、茜が落ちた__。


不動の野球部3人組と、俺たちの尻を叩くマネージャー。茜が居たから、茜の笑顔があったから、どれだけ厳しい練習も耐えることができた。


俺たちのマドンナなんだ、永遠に。


「うおぉぉぉぉおおー‼︎」


気づけば俺は、飛びかかっていた。


茜の手を決して離そうとしない、でっかいうさぎに。


タックルをする形で、地面に押し倒す。


「か、笠井⁉︎」


うさぎを抑え込んだまま振り返ると、腰を抜かしている茜が。


本当なら俺がその震えた手を掴みたい。でも今は、こいつを食い止めないといけない__。


「浩二‼︎あとは頼む‼︎」


俺がそう叫ぶまでもなく、駆け出してきていた西川浩二が、茜の手を取って立ち上がらせた。


「行け!早く‼︎」