悪魔の運動会



男の声が、校庭中に響き渡った。


「本日は晴天にも恵まれ、まさに運動日和。運命を感じずにはいられません‼︎皆さんは、これから我が国を背負って立つ選ばれし未来の希望‼︎我が国の宝。日本の将来は今、皆さんの手に委ねられたといっても過言ではありません‼︎それほど皆さんの___」


「うっせーんだよ‼︎てか、てめぇ誰だよ‼︎」


この時ばかりは、裕貴の大きな怒鳴り声に賛同したい気持ちだ。


職場体験だと騙し、こんなところに拉致した張本人に違いない。


しかも20人を超える中学生を、催眠ガスで眠らせてなんて、手がこみ入り過ぎている。


只者ではないことは確かだ__。


先ほどまでとは一転、静寂が広がる。でも聞こえている。


マイクの向こうで黙り込んだ、男の息遣いが。


「おい‼︎さっさと出てきやがれ‼︎」


さらに裕貴が煽ったと同時に、キーーーン‼︎と金属音が耳を突いた。


あちこちから悲鳴が上がる。


でもそれはまるで、男の怒りが爆発したような鋭さ。


さすがの裕貴も耳を押さえて根負けした様子。僕は思わず美咲を探した。同じく耳を押さえて蹲(うずくま)っている。


すぐに駆けよろうとした時、音がパタリとやんだ。


「これは失礼いたしました。皆さんの仰る通り、まず自己紹介から。私は、政府が新しく立ち上げたプロジェクトの責任者、神木と申します」