【野々村哲也】
やっぱり、ただのフォークダンスじゃなかった。
音楽が止まった時、ウサギの相手が失格。
ということは?
「俺たち関係ねーな⁉︎」
前で踊る裕貴が、馬鹿でかい声でそう言った。
そうだ。男女に分かれた時点でウサギは、1人足りない男子に入ったから、自然と失格になるのは女子ということになる。
全女子の顔色が変わった。
その時に踊っていた寺脇リカは、ヒッ‼︎と短く息を飲んだ。
それまで踊れていたのに、急にステップを間違えたりとぎこちない。
これは、死へのダンスだからだ。
「お前だったりしてな」
今、俺のパートナーである伊藤明日香に囁いてやった。
小柄な伊藤は、指先を激しく震わせている。
それもそうだろう。
音楽がそろそろ終わろうとしているからだ。
次、俺からウサギにパートナーを託した途端、終了する可能性がある。また始まればいい。でも佳境を過ぎたオクラホマミキサーは尻すぼみに__。
「じゃあな」
僅かに抵抗する伊藤の手を払い、半ば突き出すようにしてウサギに差し出す。
そして音楽が__また始まった。
ホッと肩の力を抜いた伊藤だったが、次の瞬間__。
「えっ⁉︎」
目を見開いた。
俺も同じだった。



