「男子は内側、女子が外側で円になって下さい。男子が1名少ないので、うさぎ君が加わります。それでは競技を忘れて、楽しく踊りましょう‼︎」
いつになく陽気なアナウンスだが、とても私たちの警戒心が解けるわけがない。
それでも音楽は止まらない。
白けた私たちの気持ちを逆撫でするような、呑気なフォークダンスミュージック。
「みんな、踊れるよな?」
間宮くんが、全員に確認をする。
踊りたくはないが、踊ることはできる。夏のキャンプファイヤーでも大人数で輪になって踊ったからだ。
「とにかくやろう。ちゃんと踊ったほうがいい」
安藤くんがそう言うと、全員がバラつきながらも円を作る。
みんな、朝のラジオ体操のことが頭にあるんだ。
あれからまだ、数時間しか経っていない。
もう、あれは何日も前のことように思える。
競技じゃないとはいえ、真面目に踊らないとどこからかスナイパーが狙っている。
私たち女子も、適当に輪になった。適当とは言いつつ、誰もうさぎには近寄らない。
満面の笑みを浮かべたままの、不気味なうさぎ。
クラスメイトを何人も連れ去った、悪の根源。
「いいわ、私が踊ってあげるわよ」



