【相原友子】
教室から出るということは、また誰かが居なくなるということ。
失格者が無事に帰宅しているという筋書きを、私たちは鵜呑みにしたんじゃない。
そうでも思わなければ、立っていることもできないからだ。
許されるなら、ここから動きたくはない。
競技を始めるとは言っていないわけだから。
でも「ラジオ体操のこともあるから、行こう」と安藤くんは1番に駆けていった。
その背中が、どこか嬉しそうに見えた。
これから誰かが犠牲になるかもしれないのに、浮かれているように見えた。
きっと、木崎さんだ。
これだけ言葉を交わして側にいる私より、言葉を交わさないからこそ繋がりあっている彼女との関係のほうが、尊いのだろう。
こんなこと思うのはいけないって分かってる。
だって木崎さんだけ敵組なんだ。
分かってはいるけれど、意味深長に2人が視線を交わすのを見たくなくて、1番最後に教室から出た。
うさぎが手招きしている。
お互い警戒しながら近づいていく、両組。
オクラホマミキサーの単調な音楽だけが、どこまでも流れていく。
「なにやんだよ?」
かったるい様子の戸田裕貴。勝負事じゃないと、気合が入らないらしい。
誰も裕貴の問いかけには答えない。
答えなくても分かるだろう。
オクラホマミキサーが流れた時点で、何をやるかは決まっている。
フォークダンスだ。



