猿の手から、蜂の巣が静かに落とされた。
歪(いびつ)に割れた巣の塊が、横たわっている。
やがてその穴から、大きな蜂が顔を覗かせた。羽をこすらせ、針を揺らし、のそりと地面に降り立つ。
1頭、また1頭と、穴という穴から飛び立っていく。
聞こえていたのは、その羽音だったんだ。
いまや無数の羽の音とともに、何頭もの蜂たちは標的を探し求めて彷徨っている。
「やだっ‼︎刺される‼︎」
そんな声とともに、中段が大きく揺れた。
右に傾げたが、僕は辛うじて踏みとどまった。これで落ちてしまったら負けてしまう‼︎
僕たちピラミッドの周りを、舐め回るように飛んで包囲している蜂たち。
山を打ち崩そうと今にも飛びかかってきそうで、今にも雪崩が起きそうなほど、先ほどまでとは打って変わって不安定だった。
「動くな‼︎動くと刺される‼︎」
それは紅組から聞こえてくる。
安藤と間宮が下段からアドバイスをしているんだ。
同じように、グラついているのが見えた。しかもピラミッドは元から不安定だ__。
「あっ⁉︎」
てっぺんの相原友子が大きくバランスを崩した。あれで転倒すれば、僕たちの勝ちだ。
頼む‼︎倒れろ!
そう願った僕の目の前に、突如、1頭の蜂が現れた。
とんでもなくデカい、女王蜂が__。



