「信吾、大丈夫か?」
声を掛けてかきたのは、間宮旬。
スポーツ万能で友達思い、人望はクラス委員の安藤直人と二分する。
「うん。ちょっと頭が痛いくらいで。それより、何があったのかな?」
「それが、良く分からないんだ」
そう答えたのは、安藤直人だ。
いつも直人の周りには輪が出来ている。
【信頼】という名の丸い輪が。
「安藤君、女子は11名全員無事。怪我もないし、まだ少しボーッとする子も居るけど、みんな起きたわ」
はきはきと報告するのは、副委員長の相原友子。
「相原、ありがとう」
「男子も11名、無事だった。ただ、全員、携帯は没収されていて、外部と連絡の取りようがない。まだ校内は調べてないけど、隔離されたような気がする」
そう冷静に分析するのは、学校一の秀才、山寺正人だ。
度の厚い黒縁眼鏡を一旦、外して掛け直した。
誰もが気になるところだ。
一体、何があったのか?
どうして、こんなところに連れてこられたのか?
担任のガッキーは何処に行ったのか?
これから、どうするのか?
クラスメイトの視線がすべて、直人に集中する。
そして直人は口を開いた。
「恐らく俺たちは__拉致された」



