悪魔の運動会



「んんっ__」


「気がついた?」


「ん?」


腕の中の美咲が、僕を見上げ。


そしてその眉を大きく歪ませた。


「ちょっとなによ‼︎触らないで!」


思いきり突き飛ばされ、尻餅をつく。


「怪我は?どっか痛いところとかない?」


「なんなのよ?私に構わないで‼︎」


そう叫ぶと、僕をキッと睨んだ。


樋口美咲は女王様だ。


その際立った美しさは、まさに女王に相応しいもの。


でも、僕にとっての美咲は、幼い頃の記憶が大部分を占めていた。


親同士の親交があったため、気がつけばいつも隣にいた。


そしてそれはずっと続くと思っていた。


ずっと__。


「向こうに行ってよ‼︎」


「美咲‼︎大丈夫⁇」


心配そうに駆け寄ってきたのは、伊藤明日香と清水奈々。


2人は盾になって僕を睨(ね)めつける。さながら、お姫様を守る家臣のように。


僕は仕方なくその場を離れた。


怪我もなさそうだし、あの2人に任せれば大丈夫だろう。


1番の心配事が解消されると、自ずと気になった。


一体、何があったのか?


少しずつクラスメイトが集まりだしている。きっと、あの輪の中心に居るのは__?


「信吾、大丈夫か?」