悪魔の運動会



【清水奈々】


私はブスじゃない。


とちらかというと早熟で、同じ年の女子がやっかむほど、男子たちからチヤホヤされた。今以上に持て囃されると確信して中学生となった私は、樋口美咲を一目見た途端、こう呟いた。


「なにあれ__反則じゃん」


それほど、美咲は完璧だった。


容姿もさる事ながら、佇まいや所作、全てにおいて絶対的な向こう側の人間だった。瞬時にして思い知らされたんだ。私は大多数と同じ、こちら側の人間だと。


「樋口さん、良かったら友達にならない?」


下手に出てそう言った時も、誰もがひれ伏すくらい強い眼差しで、私は品定めされていた。


「__いいわ。よろしく」


女王様の許可が下りた。


その瞬間から、私は樋口美咲の付属品としての学校生活が始まった。全ては、美咲を通して評価が下されるがそれで良かった。美咲に寄生することで、辛うじてあちら側に足を突っ込んでいるからだ。


私の歪んだ理想だった。


それでも__付属品がなければ本体は動かない。


いつか【女王】が失脚するのを、心の奥底で願っていたものだ。


それが今、叶うだなんて__。


美咲はもう、力を失っている。大野信吾を自らの票で落としたにも関わらず、それをいつまでも引きずっていた。


攻め落とすなら今しかない‼︎