【相原友子】
「__囮?」
競技が始まる前に、安藤くんが私たちにそう言った。
「ああ。きっとあいつらは妨害してくるはずだ。だから、もしもの場合、俺が囮になって逆にあいつらを食い止める。その間に先にゴールしてほしい」
「分かったわ」
私は頷いた。
これは安藤くんの作戦だ。
4人が全員、ただ走っても意味がない。お互いが協力し合い、誰か1人を先にゴールできるよう、囮になってアシストするということか。
いざ競技が始まると、斉木くんが一気に飛び出していった。
アンパンを跳び上がって食いちぎり、私たちの出番なんてないように思えたのに__。
斉木くんの死体が運ばれていくのを、私と久米さんはお互いに寄りかかるようにして見ていた。
激しく膝が震えている。
改めて思い知った。
この【運動会】が、恐ろしいものだということを。
それでも競技は再開される。
安藤くんたちが行ってしまった。2人を相手に競争している。三輪車が横倒しにされ、地面に頭から突っ込む様子を目の当たりにし、ようやく私も走り出した。
女子全員が横並びに、三輪車に跨いだ。ペダルに足をかけて漕ぎ出すが、なかなかうまく進まない。
その先では、安藤くんが網ごと相手の動きを抑え込んでいるのが見えた。
作戦通りだ。あとは私が__。
えっ⁉︎
横から颯爽と駆け抜けていくのは___樋口美咲⁇



