三輪車に乗り、小さなペダルを漕ぐ。
身長が高いため、ぎこちなく進んでいた裕貴を捉える
のは難しいことじゃない。
すぐに追いつき、追い越そうとした時。
伸びてきた足に、思いっきり脇腹を蹴られた。おまけに後続の哲也にも、三輪車を遠くに蹴飛ばされ、一気に順位を落とす。
ヤンキーどもが邪魔をしてくるのは想定内だったが、1人で2人を相手にするのは分が悪い。
ようやく網にたどり着いた頃には、裕貴はもう網から出ようとしていた。
ここで取り逃せば__負ける。
そう判断した俺は、網を潜るのではなく、網の上を跨いで、這っている裕貴に飛びかかった。
「おまっ、離せ‼︎卑怯じゃねーか‼︎」
「お前にだけは言われたくないな‼︎」
腕の中で暴れる猛獣を、なんとか抑え込む。
「て、哲也‼︎なんとかしろ!」
そう、2番手の野々村哲也に指図する。
裕貴が助けを求めることは百も承知だ。なんでも1番にならないと気がすまない男だ。自分が犠牲になるなんて考えは皆無。
そして哲也は、逆らいもせず言われた通りに動く。
性格の読みが当たった‼︎
俺を引き剥がそうとする哲也にも、網を絡ませる。
俺が1人でこいつらの動きを封じるには、蜘蛛の巣を張って獲物を誘い込むしかない。
自分の体ごと網でぐるぐる巻きし、絡め取るんだ‼︎
「そんなことして、お前も逃げられねーだろが‼︎」
複雑に絡む網に観念し、力を抜いた裕貴に向かって俺は言った。
「心配するな___俺は囮だ」



