【寺脇リカ】


次は「植松理沙」だと決めていた。


理沙とは小学校の頃からの付き合いで、実は仲良しだった。


リカと理沙。


いつも一緒に居たのに、中学に入ると様相が変わってきた。


私がイジメられたからだ。


隣に居ると同じように仲間外れになると察した理沙は、手のひらを返すように、イジメる側に鞍替えをした。なんの躊躇もなく私を攻撃する理沙を、心から憎むのにさほど時間はかからなかった。


名前を呼ばれた時の驚いた顔は、私が友達だと信じていた理沙から、お腹を蹴られた時と同じ。


名前を積み重ねられた絶望感は、理沙が無理強いさせられたからではなく、イジメの首謀者だと知った時の私と同じ。


全く同じ苦しみを味あわせやると誓った。


それがまさか、こんな形で叶うだなんて__。


もう、笑うしかないでしょ?


それなのに、相原友子は私に声を掛けてくる。


「もう泣かないで」


ツボに入ってしまった。


もう腹筋崩壊。


笑うのを我慢するより、泣いた振りを装うことより、まだ気づかないこの偽善者に、もう限界。


「ああ可笑しい‼︎」


顔を上げると、この世のものとは思えないものを見るような、相原友子がいた。


それがまた可笑しくて可笑しくて。


ようやく笑いの虫が引いていくと、丁寧に教えてあげることにした。


「私なの、植松理沙を落としたのは」