「それでは一つずつ皆さんも一緒に数えましょう‼︎」


紅組にはタヌキが、白組はライオンがそれぞれのカゴを抱え、一つずつ玉を取り出していく。


「いーち‼︎」


大きく放り投げる。


「にーい‼︎」


「さーん‼︎」


リズム良く、玉がカゴから放たれていく。


俺は気が気じゃない。


もし、もし負けるようなことがあれば、心象が悪い。


最後に木崎を倒そうとした悪いイメージは拭えない。


「じゅういーち‼︎」


頼む、頼むから投げ続けてくれ!


白い玉が無くなっても、投げてくれ。1個でいい、たった1個でいいから、白の数を上回ってくれ__。


「にじゅうごー‼︎」


どんどん玉は数えられていく。


それは突然、訪れた。


「よんじゅうろーく‼︎」


タヌキはカゴの中に突っ込んだ手を引っ掻き回している。


__玉がもう、ない?


しかし、ライオンの手には白い玉が握られていた。


高く高くライオンが放り投げた、白い玉。


全員がその起動を追いかけ、やがて「ドスン‼︎」と地面に埋もれ、砂埃が舞い上がった。


あれは__俺が最後に投げた、白い玉。


地面に突き刺さる振動は、まるで、俺の心臓を踏み潰したように思えた。


「白組の勝利」