【戸田裕貴】
俺はピッチャーだ。
マウンドに立って片足を上げ、大きく手を振りかぶる。
どストライクの豪速球をお見舞いしてやるぜ。
狙いを定めて玉を放つ。
キャッチャーミットにじゃない。動かない標的にだ。
「めちゃくちゃ怒ってんぞ?」
哲也が及び腰になっている。
「だからなんだ?どうせあいつは動けない。当てて下さいって言ってるみてーじゃね?」
そう言って、俺の投げた白い玉は、カゴ持ちの旬の膝に命中した。
どれだけ睨まれても怖くはない。
「ちゃ、ちゃんとカゴに入れないと負けちゃうよ‼︎」
ガリ勉の山寺が、俺に意見してきた。この俺様に。
「ちんたらやってられっかよ‼︎あいつを潰しゃあ、同じことだろうが‼︎それに安心しろ。俺たちのカゴ持ちがやられることはない」
顎を突き出した先には、大股を開いて必死に耐え忍ぶ木崎涼子がいた。
まだそれほど玉は入っていないが、カゴに当たる衝撃で左右にフラついている。
玉の数では間違いなく負けだ。
それなら、向こうのカゴをぶち壊すまで。
俺の直球は、間宮の肩にヒットした。一瞬、グラついたが踏ん張ったようだ。
なかなかしぶとい野郎だぜ。
紅も白も関係ない。色なんてどうだっていい。あいつさえ倒せたら、俺の勝ちだ。
俺は足元の紅い玉を拾った__?



