カッターがどこにあったかって?


そんなこと簡単だ。リストカットをするのに、肌身離さず持っている。私を傷つけていいのは、お前らじゃなく、この私自身だけだから__。


本当なら声を上げて笑いたい。


腹を抱えて笑ってやりたかった。


運動会?縄跳び?綱引き?ワケの分からないプロジェクトに巻き込まれたが、今ほど生きていることを実感したことがあっただろうか?


私物を隠されても、面と向かって悪口を言われても、背中を蹴られても、ただ指を咥えてこまねいているしかなかった。


それがどうだ?


私には1票がある。相手を陥れ、葬り去ることができる票があるんだ。


水飲み場で介抱してくれた久米茜に、そっと耳打ちしてやった。


「世古佳恵が、あなたに票を入れると言っていた」と。「だから逆に、みんなで彼女に入れよう」と。


票を操ることができたなら、私の手で【失格者】を決めることができる。


こんな愉快なことがあるだなんて‼︎これが笑わずにいられる?


でも、バレないように伏せたほうがいい。この偽善者の相原友子に知られないようにしたほうがいい。こいつはまだ使える。か弱い寺脇さんを演じたほうが事が運びやすいからだ。


さぁ、次はどいつを始末してやろうか?


私はいつまでも、肩の震えを止めることができなかった。