「頭が……痛くて……」


「大丈夫?」


あたしは夏男の肩を抱くようにして、その場に座らせた。


下はコンクリートだけれど、仕方がない。


頭痛を我慢するように目を閉じていた夏男が、ふいに顔を上げた。


その表情には苦痛の色はなかった。


「杏? 話ってなに?」


まるで何事もなかったかのように、そう聞いてくる夏男。


あたしは唾を飲み込み、そして口を開いた。