いつの間にそこにたのか桜井君が立っていた。


「なに?」


桜井君とはそんなに仲良くないし、いきなり声をかけられるのは意外だった。


「いつももっと楽しそうにしてるのに」


「別に、関係ないでしょ」


どうして桜井君にそんな事を言われなきゃいけないんだろう。


そう思い、そっぽを向いた。


いくら寂しくてもあたしよりも地味で大人しい桜井君になんて、声をかけてもらわなくて大丈夫だ。


「本を読みたいからほっといて」


あたしはそう言って文庫本を取り出したのだった。