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1年生の下駄箱に近づいてきた時、笑い声が聞こえてきてあたしは歩調を緩めた。


今の声は四葉だろうか?


よく似た声だった。


今日は仕事があるから早く帰ると言っていたけれど、まだ下駄箱にいたようだ。


四葉がいるということは、楠葉もいるかもしれない。


そう思って足を進める。


「雅のあの顔、マジうけたよね!」


楠葉のそんな声が聞こえてきて、あたしは足を止めた。


嫌な予感が胸をよぎる。


聞かなかったフリをして教室へ戻ろう。