「雅」


そう声をかけられてあたしは博正を呼ぶ声を飲みこんでしまった。


振り向くと、クラスメートのミカが立っていた。


「なに?」


そう聞きながら、視線は博正へと戻す。


博正はあたしに気が付かず、友達と一緒に行ってしまった。


「ミカ、今じゃなきゃダメな話なの?」


「今じゃなきゃダメ」


ミカはそう言いあたしの手を握って歩き出した。


強引に歩くミカにあたしは慌ててついて行く。