「楠葉はまた痩せた?」


教室についたところであたしはそう聞いた。


楠葉はあたしの右隣の席だ。


「少しだけね? 雅はすぐに気が付いて言ってくれるからダイエットのし甲斐があるんだよね」


「でも、もう十分細いよね」


そう言ってあたしは楠葉の腕を掴んだ。


自分の腕を比べて見ても、随分と細いことがわかる。


「あのね雅、モデルたちはみんなこれくらいが普通なんだよ?」


楠葉が少しため息を吐き出してそう言った。


楠葉はファッション誌の読者モデルを務めていて、将来的にはちゃんとしたモデルになりたいと考えているようだった。