すぐにでも肯定したいけれど、黙って博正からの返事を待った。


すると博正は軽く笑って「違う違う。ただの幼馴染」と、言ったのだ。


博正の言葉が胸に突き刺さる。


さっきまで優越感に浸っていた気持ちが、あっという間にしぼんで行ってしまった。


『ただの幼馴染』


それはわかったことだった。


あたしが周囲の子よりも博正に近づけていられるのは、あたしたちが幼馴染だから。


それ以上の関係になれたことは1度もない。


わかっていたことだったけれど、博正本人から言われると胸が痛くて仕方がなかった。


今すぐここから逃げ出したくなる。


それでも逃げる事なんてできなくて、あたしは残りの時間を我慢して過ごす事になってしまったのだった。