苦くて苦しい、昨日の思いだけが蘇って来る。


博正が一番大切にしているもの。


それがなんなのか、考えなくても知っていた。


そのくらいあたしは博正のことが好きで、ずっと見て来たから。


あたしは博正の写真を加工アプリにアップデートし、その足を黒く塗りつぶした。


こうすれば博正は二度と足を使えなくなるかもしれない。


そう分かっていて真っ黒に塗りつぶしていく。


「なにしてんだよ!」


真後ろからそんな声が聞こえてハッと振り向いた。


桜井君だ。


あたしは大きくため息を吐き出した。