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ボンヤリとした頭のまま家を出た。


「雅おはよう! どうしたの? 今日はいつにもましてボーっとしてるね?」


登校途中にそう声をかけて来たのは同じ1年A組の朝井楠葉(アサイ クズハ)だった。


「楠葉……なんか変な夢見てたきがするんだよね」


「変な夢?」


「うん。でもどんな夢だったのか思い出せなくてさー。思わずぼーっとしちゃった」


そう言うと、楠葉が小さく笑った。


「思い出せない夢のことを考えてぼーっとするなんて、雅らしいよねぇ」


「なにそれ、どういう意味?」


「別になんでもない」