「本気で言ってるのか?」


その質問にあたしは頷いた。


もちろんだ。


昨日までの九条君じゃ女子に囲まれる経験だってできなかったはずだ。


もう十分得をしているように見える。


「あの顔じゃ親にだって認識されないんだぞ?」


「別にいいじゃん。あれだけカッコよければすぐにスカウトされて、キラキラした人生が始まるんだから」


あたしはそう言い、おにぎりを口に運んだ。


「桜井君だって加工アプリでカッコよくなるんでしょ? 一緒じゃん」


桜井君が加工アプリを紹介してくれたことは感謝している。


けれど、それをどう使うかはあたしが決めさせてもらう。


「どうなっても知らないからな」


桜井君はそう言い、あたしに背を向けたのだった。