「先生! 本当なんです、俺は九条です!」


「いい加減にしないと警察を呼ぶぞ」


先生の言葉に九条君はサッと青ざめた。


「でも、本当に……」


「不法侵入だ。とにかく付いてきなさい」


先生はそう言い、九条君の腕を掴んで歩き出した。


九条君が振り返り、あたしと視線がぶつかった。


「さようなら」


あたしは小さな声でそう言ったのだった。