せっかくカッコよくなっても恰好がダサイともったいない。


あたしは桜井君にスマホの画像をみせてもらいながら、男性用の服を選び始めた。


「女の子だって自分の顔に合わせて服やメークを変えるんだから、そのくらいの努力はしなきゃダメだよ」


「そっか……」


桜井君は戸惑った表情を浮かべながらも、あたしが選ぶ服を試着していく。


今の桜井君に似合わなくても大丈夫。


いずれちゃんと似合うようになるんだから。


「すごいな女子は。毎日こんな風に服を選んでるんだろ?」


「そうだね。私服の時はクローゼットの中を吟味してるよ」


「じゃあ、今日も?」


桜井君がそう言ってあたしを見た。