あたしはおずおずとそれを受け取った。


「待ち受け画面、俺なんだ。俺は時間をかけてその顔になる」


スマホの待ち受け画面には、博正よりもはるかにカッコいい男子生徒の写真が使われていたのだった。


「……本当に、こんな顔になれるの?」


信じてなんていないのに、思わずそう聞いていた。


「時間はかかるけど、なれるよ」


桜井君は自信に満ちた表情でそう返事をした。


「信じられない。こんなカッコいい人学校にはいない」


「俺がこの顔になったら、付き合ってよ」


桜井君の言葉にあたしは驚いて目を見開いた。


本気で言ってるんだろうか?


桜井君はこの顔になるんだろうか?


「……いいよ」


あたしは小さな声でそう答えたのだった。