聞きたくないけど、聞かなきゃいけない。


じゃないと、すべてを知った時に自分が傷つくからだ。


あたしはカギに触れていた手をひっこめて握り拳を作った。


何を言われても大丈夫だと、強い意思を持つ。


「あれだけ急に痩せるのって普通じゃないよね」


「だよね。ダイエット方法も言わないし、絶対にドラッグだよ」


「いくらドラッグで痩せてもあたしたちには叶わないのにね」


「だよねぇ。あたし達が博正と話してるの見て焦ったんじゃない?」


そう言って大きな声で笑う2人。


トイレの中は笑い声がこだまする。


聞きたくないのに、何重にもなってあたしに襲い掛かって来る。