「あたしクッキーの作り方を知らないの。お料理学校にも行ってたんだけど、お菓子の作り方は習ってなくて。クッキーとか、みんなお母さんから習ったりするんでしょ? それもうちじゃ無理で……」


言いながら、小春ちゃんの声はどんどん小さくなってゆく。


「いいよ、教えてあげる!」


あたしはすぐにそう言った。


あたしが知っているクッキーの作り方は、まさしくお母さんから習ったものだった。


一般的な家庭の味がすると思う。


小春ちゃんが望んでいるのも、きっとそういう味のクッキーなんだろう。


「本当に!?」


小春ちゃんの表情がパッと明るくなる。


「もちろんだよ」


あたしは大きく頷いたのだった。