武人君と2人でホテルへ来たあたしは、夢のような時間を過ごしていた。


すべてが初めてで武人君はどこまでも優しくて、触れられている時間は心地よく感じられた。


「体、大丈夫?」


シャワーを浴びていた武人君がベッドへと戻ってきてそう聞いて来た。


あたしは恥ずかしくて武人君を直視することができない。


「……大丈夫だよ」


本当はまだ少し辛かったけれど、あたしはそう言った。


「小春と1つになれて、すごくうれしいよ」


武人君はそう言い、ベッドにもぐりこんできて腕枕をしてくれた。


『小春』と呼ばれることにチクリと胸が痛む。


あたしは小春じゃない、心だよ。


そう言いたくて仕方がなかった。