「ごめんなさい。今日は体調が戻ったばかりだから……」


そう言うと武人君は「風邪でもひいてたの?」と、心配そうな表情を浮かべた。


「そ、そうなの」


武人君を心配させることは心が痛んだけれど、ここでボロを出すワケにはいかない。


必死で演技を続けた。


「そうだったのか。知らなくて、ごめん」


「ううん」


どこまでも優しい武人君に胸の奥がジンワリと暖かくなっていく。


今はこんな人があたしの彼氏なんだ。


いずれ武人君とホテルに泊まる日が来るかもしれない。


そう思うと、また顔が熱くなってしまったのだった。