そしてユキエさんへと視線を移動させる。


「ユキエさん。その子を屋敷へは入れないで」


自分でも驚くような冷静な声色でそう言っていた。


「ですが、お嬢様……」


ユキエさんは戸惑っている。


「いいの。喧嘩をしたの」


あたしはキッパリとそう言い切った。


小春ちゃんが目を見開いてあたしを見る。


何かいいたいけれど、何も言えないような表情だ。


「ごめんなさい。今日は機嫌がよろしくないみたいで」


ユキエさんがそう言いながら小春ちゃんを屋敷の外へと追い出すのを、あたしはジッと見つめていたのだった。