あたしは大きなため息を吐き出してベッドから下りた。


小春ちゃんに寝起きの姿を見せるワケにはいかない。


あたしは完璧な小春ちゃんになり切っているのだから、完璧な姿を見せなきゃいけない。


あたしは息晩のお気に入りの服を着て部屋を出た。


階段を下りて行くと玄関が開いていて、ユキエさんが客人を招き入れるところだった。


小春ちゃんだ。


あたしの服を着た小春ちゃんと目が合う。


なんてみすぼらしい格好なんだろう。


あんな安物の服、よく着ていたものだと我ながら呆れてしまう。


小春ちゃんがニッコリとほほ笑んで手を振って来る。


あたしは手を振り返さず、階段の途中で足を止めた。