「あの男の人ってなんだったの?」


そう聞くと、宏哉は眉を寄せてあたしの隣に座った。


「1度だけ見たことがある。父親の同僚だ」


「その人がなんであんなことを?」


「あの人、1度母親と不倫の関係にあったらしいんだ」


「え?」


あたしは驚いてそう聞き返した。


「両親がその事でモメてるのを、偶然見たことがある」


「そうだったんだ……」


「それが、まさかこんなことになるなんて」


そう言い、宏哉は頭を抱えた。