妊娠するなんて予定外だった。


あたしは自分の体を見おろしてため息をはきだした。


今ではペタンコになったお腹。


だけど、1年前までは確かにここに命が宿っていたのだ。


学生同士の結婚なんて無理。


お金もないし、子供を育てるための知識だってない。


あたしたちの子供がこの世から消されるのは、時間の問題だとあたしはすぐに理解した。


「剛。もし、万が一にでも産むことができたら、どうする?」


あたしはあの時剛へ向けてそう聞いたんだ。


もし、両親を説得することができて、産むことを許可してもらえたら。


そんな期待を込めて。