あたしは手早く体を洗い、湯船から出た。


家の中には家族以外に誰もいない。


それなのに、誰かに見られている気がして落ち着かなかった。


スマホを握りしめて誰かに連絡しようとしてみるけれど、学校を辞めてから連絡を取り合っていたのは花音1人だけだと気が付いた。


宏哉との関係も切れてしまっているため、心細さを伝える相手がいない。


しばらく思案した後、あたしは諦めてスマホを置いた。


あたしにはちゃんとした相談相手が誰1人としていないのだ。


そのことに気が付き、愕然としてしまう。