犬でも自殺ってするんだね。


濁流にのみ込まれるゴンを見送り、あたしは内心ほほ笑んでいた。


もう痛くない手の傷が、どんどん癒えて行くような気がする。


「仕方ないよね、老犬だったんだから」


あたしはそう呟き、用水路を後にしたのだった。