さすがに、火災まで経験したなんて言うと怪しまれるかもしれないから。


吉野さんと会話をしながら荷物をロッカーに入れ、タイムカードを押す。


何も変わらない日常だけど、少しだけ色づいて見える。


1年前からずっと灰色に染まっていたあたしの生活が、元に戻ろうとしているのがわかった。


「海老名さん、来る時に蛇の死骸を見なかった?」


レジの準備を始めていた時、不意に別のパートさんにそう声をかけられた。


「蛇の死骸ですか?」