「自分の目の前で人が死んだり、ひどい目に遭うなんて、きっと耐えられなくなる」


「そんなことない!」


あたしはキッパリとそう言い切った。


あたしはすでに目の前で事故を目撃して、火事で燃える人間だって見ているのだ。


今日書いた些細なことくらいで動揺するとは思えなかった。


「今はそうかもしれないけど……」


「ごめん、今日はもう帰るね」


花音の言いたいことが全くわからない。


あたしは花音が引き止めるのを無視して、家を出たのだった。