今まで勇の方から挨拶してくれることなんてなかった。


「おはよう。昨日は誘っておいて行けれなくなってごめんね」


あたしはできるだけ申し訳なさそうな表情を浮かべてそう言った。


「いや、大丈夫だよ」


勇はそう言って嬉しそうにほほ笑んだ。


映画の相手があたしじゃなくて良かったと言われているようで、少しだけ胸が痛む。


「映画はどうだった?」


「すっげぇ面白かったよ。でも、ユナちゃんは退屈だったんじゃないかなって……」


「ユナも楽しかったって言ってたよ」


あたしがそう言うと勇は「そっか。楽しかったって言ってた?」と、食いついて来た。


勇からのメールに返事をしていないから、ずっと気になっていたのかもしれない。


「うん。昨日連絡がきたから間違いないよ」


「そっか。よかった……」