「土曜日は熱が出て寝込んでたよ」


あたしは勇についたのと同じ嘘をつく。


「えぇ!? デートは!?」


「行けなかった。代わりに友達と行ってもらったの」


そう言うと、彩羽は大きくため息を吐き出した。


「なんだぁ……残念だなぁ……」


彩羽はあたしと勇がうまくいくと信じてくれているようだ。


けれど、そんなことは絶対にあり得ない。


昨日の勇の反応を見て、それがよくわかった。


勇はユナに夢中だ。


「おはよう葉月」


教室に入って来た勇がそう声をかけて来たので、あたしの心臓はドクンッと跳ねた。