そう思うと心が軽くなっていく。


コンプレックスだらけの自分の顔が、今はいとおしく感じられた。


人の顔なんてどうにでもなる。


可愛くなりたいのなら、なればいいんだ。


「勇ってどんな子がタイプなんだよ」


そんな声が聞こえて来て、あたしは視線をそちらへ向けた。


そう言えば勇の好みのタイプを聞いたことはなかった。


葉月も気になったのか、会話をやめて聞き耳を立てている。


「これ、この子かな」


勇が雑誌を指さしてそう言った。


けれど雑誌の中身までは見えない。


「あぁ、早乙女カナミ? 最近人気だよなぁ」


男子たちが盛り上がる。


早乙女カナミは今年になってブレイクしたグラビアアイドルだった。