フェイスを引っ張ると、下の皮膚まで一緒に剝がれるのがわかった。


それでもあたしは手を止めなかった。


本当のあたしを見てもらうんだ。


その一心でフェイスを剥がす。


ベリベリと耳障りな音が響き、床には血がしたたり落ちて行く。


「おい……やめろよ!」


「あたし、本当はナナじゃなくてね……」


ベリ……ベリベリベリ‼


「葉月なの」


フェイスが剝がれ落ち、床に落下した。


フェイスの内側にはベッタリと皮膚が張り付いていて、血まみれた。


「うわああああああああ‼」


カナタ先輩が悲鳴を上げ、その場に倒れ込んでしまった。


「ふふっ……ふふふっ」


やっと、本当の顔を見てもらう事ができた。


その安堵感から、あたしは痛みも感じないまま倒れ込んだのだった。